女の姿を実際に見ることができない平安時代においては、男が女の情報を集めることから恋が始まりました。美人であるか、教養はあるか、気立てはどうか、家柄は、財産は…。情報収集の直接的方法は、その女の侍女とのコネを活用することでした。一方、女のほうも自分を売り込むために、意図的によい情報を流そうとします。ですから偽の情報に引っかかることもあったでしょう。
平安時代、女は家族以外の男には顔を見せない、口を利かないのがエチケット。女は絶えず物陰に隠れ、人前に出るときは扇で顔を隠さねばなりませんでした。なぜなら、女が男に顔を見せるということは、結婚を許したも同然のことだったからです。継母継子の間でもそれは守られました。だから継母継子といえども他人も同然であり、光源氏と継母藤壺のように過ちを犯すことにもなりました。
女の情報に恋をした男たちは、まず女に歌を贈ります。力作を贈っても最初は女からの返事がないのが普通で、侍女の代筆でももらえればまだましなほう。やがて女の自筆の手紙をもらえるようになれば、ようやく男の想いが女に認められたということになります。さらに男の情熱が評価されれば、女の家で一夜を過ごし、男は初めて女の顔を見ることになります。
この段階になると、形勢逆転。男は強気になり女は弱気になります。互いに相手に不満がなければ男の忍び通いが始まりますが、中には噂にほど遠い誇大広告の女であることを知って、手を切ろうとする男とそれに必死にすがる女、という顛末もあったようです。
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